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2016年6月18日 (土)

「反転授業その後」

反転授業については、前に何度がお話しましたが、この教育スタイルの変革は、徐々に広がりを見せています。伝統的な「教室で講義、知識を伝達→家で復習、知識を定着」という一斉授業から、「家で動画による講義を受け、知識を習得→教室ではそれをもとに議論、発展的な課題に取り組む」順序が“反転”していますが、簡単に教材を作成したり、生徒に配布できるなど、ICT技術と進展と普及が下支えになっています。

反転授業は、もともとカーン・アカデミーなどの教材から、米国の中学校・高校で始まったのですが、日本ではどちらかというと大学や短大・専門学校で多く導入されてきています。武雄市のすべての公立小学校で、生徒全員にタブレットを配り、算数と理科の授業で反転授業を試みるという、とても心強い取り組みですが、全国的な広がりが見えないのは、いろいろ難しい面があるようです。

まずは、インフラ整備の問題で、準備が整っていないまま導入されるケースです。「世間でタブレット端末を使用している学校が増えてきたから」といっても、大学生や専門学校生に比べ、学校や家庭での環境づくりが求められます。いざiPad などのタブレットを導入したのはいいけれど、アプリの選択や購入、さらにそのソフトの発展的展開など、明確にしなければならないことが多くあります。

それに先生自身がはっきりとした目的もなく使われる場合があります。「なぜ、自分たちのクラスはタブレットを使用するのか」という質問に答えられないようでは、導入されたとしても意味あいが薄れます。反転授業の目的や「教室をより人間的にする」などのビジョンを、親御さん、生徒、他の教師に明確にしなければいけないでしょう。

一方で、先生方の主体性をいかに担保するかも大きな課題となっています。特にベテランの先生は自分なりに築いてきた授業のやり方をそれぞれ持っておられるはずで、そうした方に一律に動画を押し付け、授業の内容が縛られることがないよう願いたいです。反転授業は、現場主導のボトムアップ型で構成されてきました。ICT技術に頼るのではなく現場の意見に耳を傾け、教材のメンテナンスやカスタマイズに力を入れるべきだと思います。

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2016年6月 4日 (土)

脱・ゆとり教育

最近「脱・ゆとり教育」という言葉を耳にします。そもそも「ゆとり教育」が始まったのは、小中学校では2002年度、高等学校では2003年度、年齢にすると2016年現在で12歳から29歳までの人たちが対象です。これからの社会を動かす中心となる世代に、従来の「詰め込み重視」型をやめて、ゆとりある環境にして、もっと有意義に時間を使ってゆとりを持たせようとしました。当時の文科省も「生きる力」「考える力」が今後必要になる、といっていました。

それが、OECDで実施されている「生徒の学習到達度調査(PISA)」の結果からか、世間から「ゆとり教育」は「子どもの学力低下を招く」と強いパッシングを受けて、文科省は2008年に「新学習指導要領」を公示し、「脱ゆとり」と思しき方向へ転換しました。小学校では2011年度、中学校では2012年度、高校では2013年度の入学者から完全に行われました。その卒業生が、今年の春卒業ということで、文科省の「脱・ゆとり教育」宣言となったわけです。

「知識がなければ創造力は生まれない」といわれます。詰め込み教育は、創造力を養うことと一見正反対のように思われるかもしれません。しかし創造力というのは知識の量が多ければ多いほど、いろいろな知識の組み合わせができて、創造力は豊かになるというわけです。何か新しいことを考える場合でも、まったくのゼロから何かを作り出せることはほとんどないからです。

いままでの「ゆとりの中で、自ら学び、課題を見つけ、解決するという新しい学力を目指していた」のが、再び、反復型の学習に重点を戻すことになりましたが、単に、学力として図りやすい教科の時間数を増やすことで、知識が増えるわけではありません。今回の新学習指導方針でも「生きる力をつける」という方針は変わっていないので、本当の学力向上は、「ゆとり教育時代を含めた「生きる力」を教えることにあると考えられます。

「ゆとり世代」は授業時間数が少なく「ゆとりをもった」教育で育ったという認識から、他の世代から様々な批判を受けることがありますが、私は、社会に出てからの力」を重視する教育を受けてきた「ゆとり世代」に期待しています。これまでの世代よりもさらに社会で活躍する、強い力をもっているのが「ゆとり世代」だと思っています。

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