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2012年6月25日 (月)

講師の若返り

前に「ベテランすぎる講師」と題して書き込みをした新卒フォローアップ研修の続きです。ここ8年続けてきたプログラムなので、内容については、年々改良に改良を重ね、かなり完成度の高いものになっているのですが、ここ数年、受講生受けをしなくなった、というお話でした。

何が問題かといいますと、それこそ講師の先生たちは、一所懸命に、ご講義を頂くのですが、理解を深めるためにお話しされる具体例が、いまの若者に合わないというか、しっくりこないのです。簡単に言うと、母親が、息子や娘の仕事の状況を知らずに、いろいろアドバイスするような状況です。

テキストに書かれた文章も、いまの若者が日ごろ使いそうにない表現が見受けられます。たとえば「躊躇する」とか「落ち度」とかで、どうして「ためらう」とか「ミス」に直されないのか不思議です。コミュニケーションは「責任や情報」を共有して初めて成り立つもの、相手が理解できることを前提としてほしいです。

昭和の価値観と違い、「注目するターゲット」が変わって来ていることを肌身で感じます。価値観が多様化し、若者の働く理由が「生活するため」ということから大きく変わってきています。5年ほど前には「自己実現」を目指す若者が多いと感じましたが、この頃は「ライフキャリアの中の仕事」という位置付けが圧倒的に多くなってきています。

世代間の価値観の違いは、組織のチームワークやコミュニケーションという点では超えるべき壁となりますが、あらゆる世代が存在することで企業は健全な視野と感覚をキープすることができます。ただ、講師の先生の場合は、若返りをお願いする以外なく、結果として、40代の先生にご担当いただくことにしました。

もちろん、年配の先生だから「価値観がずれている」と決めつけるつもりはありません。若い先生でも、価値観の違いを認識されていない方もおられます。要は、若者の価値観の多様性について、どれだけ理解できているか、理解を示すことができるかで、先生ご自身の多様性が求められているのです。

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2012年6月18日 (月)

究極のプレゼンテーション

プレゼンテーションというと、表情、話すスピード、話の持って行き方などを重要とされていますが、もっと必要なことは「伝えたいことを伝わるように話す」ことではないでしょうか?プレゼンテーションとは、「相手に行動を起こしてもらう」ためのもの。ですから、相手を無理やり動かそうとしても成功するとは限りません。

究極のプレゼンターといわれるITのエバンジェリストのように、どういうスライドがインパクトを与えるのか? どういうデモンストレーションが印象に残るのか? 本番直前までにやっておくべきことは? プレゼンテーションを活かすテクニックとは? とスキルを駆使することも必要ですが、スタンドアップコメディアンのように、自分自身が視覚物となり得るかどうかだと思います。

通販で業界一と言われるジャパネットたかたのCMに登場する高田社長は、「商品説明よりも、その商品を使ったときのイメージを話す」ことに重点を置いているといわれます。最近、話題になったTEDのプレゼンテーションで、NHK教育テレビでも紹介されたハンス・ロスリングの「増え続ける世界人口」のプレゼンテーションもそのいい例です。

人口増加という難しい問題を、専門の統計学や世界経済のデータばかりを見せての説明では、はたして聴衆が、そのプレゼンテーションで何らかの人口増加対策のために行動を起こしてくれるかは疑問です。ロスロングは「きょうはデジタルではなくアナログで説明しましょう」といっておもちゃを取り出して、話し始めたのです。

先進国の人々のイメージとして飛行機や高級車のおもちゃを出して、一方、途上国はというと、明日の生活もおぼつかない状況を説明するのにサンダルを用いていました。もちろん、後半に登場する統計グラフを使ったビジュアルは圧巻でした。データの潜在能力を引き出しながら、地球の未来を予測して、行動してほしいことをただ一つ「世界人口の増加を止める唯一の方法は、最貧国への投資こそが有効」と訴えたのです。

このプレゼンテーションを聴いた人のコメントに「街でサンダルや、高級車を見たとき、いつも何か行動しなければ、と思い出します。」というのが印象的でした。スティーブ・ジョブズの画期的な商品説明やトム・ピーターのクリエイティブ・ソサエティの教育提言など、究極のプレゼンテーションと言われるのも、スライドだけでないことに注目したいです。

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2012年6月11日 (月)

フローな状態

よく「自分はONとOFFの区別ができている」という人がいます。それは、会社=仕事と私生活=自分の時間との区別を言い表しているだけだと思います。仕事に没頭しなければいけない人とは異なり、なにかゆったりと構えた言い方に聞こえてなりません。ON=仕事にどれだけ没頭できて、OFF=遊びにどれだけ夢中になれているのか知りたいです。

やらされ感のある仕事は、あまり積極的になれないものですが、自分が自発的に行動できる仕事は達成感があります。人間があることをしているときに、極めて高度に集中していて時間を忘れ完全にのめりこんで、価値あるものを作り上げようとしている状態は「フロー状態(忘我の境地)」と呼ばれています。

これは、アメリカの心理学者ミハイ・チクセントミハイが提唱している概念であらゆる分野で広く認知されています。 「人が喜びを感じるということを、ちゃんと内観的に調べていくと、仕事、遊びにかかわらず、何かに没頭している状態」があります。チクセントミハイはそんな状態を「フロー」と名付けました。

つまり、仕事だから「つらい、苦しい、つまらない」とは限らず、遊びがいつも「楽しい、魅力的」とは限らないということなのです。活動に没頭している「フロー」な状態であれば、大きな満足感が得られるというのです。別の言い方ではゾーンと言われる場合もあります。

昔、プロ野球選手の川上哲治が絶好調時に「ボールが止まって見える」と言ったセリフは大変有名ですが、これは典型的なフロー状態と言えるでしょう。 最近では、ゴルフの石川遼選手が1ラウンド59の世界的な記録で回ったとき、「ゾーンに入っているような感じ」と言っていたのを覚えています。

このように「フロー状態」はスポーツの世界でよく聞かれますが、これは特にスポーツに限ったことではありません。 勉強でも仕事でも起こりうるものです。 人に何か指示をされて動くような外発的な動機ではなく、その対象に取り組むこと自体に喜びを見出せる内発的な動機を出発点とすることが前提となります。 フロー状態に入れるかどうかは、報酬を期待して行動するのではなく、行動そのものが報酬になりうるかどうかなのです

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2012年6月 4日 (月)

テキスト原稿の著作権

最近、ちょっと気になることがあります。外部の講師の先生の中には、テキスト原稿の中で、データなど引用される場合、その出所を明らかにされていないものがあります。理由として、データが古いためなのか、データの出所を明らかにするとまずいのか、それとも、他人のデータを引用しているとう意識がないか、のいずれかです。

法人格や団体の研修機関でも、時として、出所を明らかにされていないデータを表示されたり、誰かのテキスト内容を、あたかも自社で策定したように、平気で登用されている場合があります。ネットで公開されているものであっても、それを引用して、営利目的に使用されているのですから、少なくとも、出典を明らかにされるべきです。

そのような研修機関に籍を置いておられた先生が、独立されて、直接活動されると、在籍されていた研修機関の他者への配慮を欠いた行為に慣れっ子になっておられる所為か、その研修機関のテキストをそのまま流用されているのを見たことがあります。盗作まがいの行為なのに、私を含め、誰も問題にしないのをいいことに、自責の念がないように思えます。

そんな講師の先生が、プレゼンテーションやネゴシエーションの研修で、ご自分のテキスト内容の出典を明らかにしていないのを棚に上げて、「あなたの主張の根拠を提示すると、説得力が増しますよ」などと、おっしゃっても、受講生は疑問に思うのではないでしょうか?

もちろん、このような研修機関や講師の先生は、少数であり、業界全体からみれば、問題にならないのかも知れません。現在のところ、どの研修機関も、テキストの末尾に、著作権の帰属の文言がありますが、形式的な掲載に過ぎないケースもあり、いつかは、業界が協会を設立するなりして、著作権についても、一線を画してもらいたいものです。

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