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2011年7月18日 (月)

形を真似(まね)ず、心を真似る

1990年のバブル期をピークに、「失われた」日本の迷走が20年間続いている中で、今一度、本質を見直そうという日本社会の潜在的意識が浮かび上っているからか、昨年の坂本龍馬や岩崎弥太郎に続き、最近、渋沢栄一にも関心が高まっています。彼の訓言集の中に「真似はその形を真似ずして、その心を真似よ。」というのがあります。

これは「何かを真似たいと思うのであれば、その形だけを真似るのではなく、その心をも真似ることだ。」ということですが、講師の先生についても同じことが言えます。講師の先生の中には、ご自分のプログラムを持たず、その所属する研修機関で、偉い先生に師事し、その人の講義を丸暗記して、あたかもご自分でそのプログラムを開発したかのように、私たちに講義されるのです。

丸暗記といいましたが、テキスト・配布物はもとより、その大先生の語り口、しぐさ、表情、進め方など、すべて真似ておられるので、まるでモノマネです。受講生はともあれ、私たちが「にせもの」と見破るのは難しいというより、そんなことを考える必要がないほど、立て板に水の如く、上手に講義をされます。大先生のプログラムが良く出来ている場合は、聞いている限り、何の問題もありません。

ただ、「問題ない」といえるのは、プレゼンテーションとかネゴシエーションなどのスキル研修に限られます。プログラムがよければモノマネである程度までやりとおすことができます。ですが、ちょっと詳しい人、たとえば、プレゼンテーションやネゴシエーションが人一倍上手いといわれる人が受講生に交じっている場合など、講師の先生自身、その人の方が自分より上手いということが認識できないのです。

そんな先生に「きょうの講義はとてもよかったので、次はこれの上級編をお願いします」と依頼すると、その場で「分かりました。出来ます」といわれるのですが、実施すると、何ら進展したものはなく、中身のない研修でがっかりさせられます。渋沢栄一がいう「「真似はその形を真似ずして、その心を真似よ。」ということであり、そんな先生は、プログラムを開発した大先生の想いやその本質を究めようとする意志がないのです。

ですから、そんな先生は、プレゼンテーションやネゴシエーションなどのコミュニケーション・スキルだけでなく、リーダーシップやマネジメント・スキルまで、誰かのプログラムを丸覚えで「何でもできる」と勘違いされているのです。大手の研修機関では、そのような講師の育て方をされているとことが多いと聞きますが、私たちの研修仲間では、逆に「どんなプログラムも講師次第」と言っています。

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