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2011年7月11日 (月)

アリとキリギリス

「アリtoキリギリス(アリとキリギリス)」はホリプロ所属のお笑いコンビ、略称「アリキリ」のことですが、きょうはイソップ物語の「アリとキリギリス」の話をしてみたいと思います。イソップ物語は全世界の人々によって親しく読まれています。が、その解釈は時代により、あるいは場所により、つまり背景によって随分と異なっているようです。
夏の間、せっせと働いて冬に備えるアリ。かたや毎夜バイオリンを弾いて歌に興じるキリギリス。やがて季節はめぐり、冬。食べ物がなくなってしまったキリギリスはアリを訪ねる・・・。さて、アリはキリギリスにどう接したか?日本では「優しいアリはキリギリスを招き入れ、食べ物を分けてあげた」という結末になっていますが、国により、いろいろな結末のバージョンがあるのをご存知だったでしょうか?
そもそものオリジナル版は「アリとキリギリス」ではなく「アリとセミ」だったようです。イソップが生まれた紀元前のギリシャではセミは地中海沿岸にも生息していて文学でも取り扱われていますが、ヨーロッパ北部ではあまりなじみが無い昆虫のため、ギリシアからアルプス以北に伝えられる翻訳過程で「キリギリス」に改編されたようです。日本に伝わった寓話はこのアルプス以北からのものです。
世界のスタンダードバージョン(146ヵ国)では、アリはキリギリスに食べ物を分け与えることはなく、「夏には歌っていたんだから、冬には踊ったらどうだ?」と断られ、キリギリスは餓死します。それどころかアリは餓死したキリギリスを食べてしまいます。こちらの方が、リアリティがあって、当代の子どもたちに受け入れやすいのかも知れませんが、その他に、このイソップ物語の現代的解釈については、「アリは働き過ぎで過労死した。」「キリギリスはアリに音楽会の切符を売りつけて、そのアルバイトの収入で冬を過ごした。」というのもあるそうです。
なお、それでは残酷だというので、アリが食べ物を恵み「私は、夏にせっせと働いていた時、あなたに笑われたアリですよ。あなたは遊び呆けて何のそなえもしなかったから、こうなったのです」とキリギリスに告げる話などに改変される場合もありますが、最も有名なものは1934年にシリー・シンフォニーシリーズの一つでウォルト・ディズニー制作の短編映画であり、アリが食べ物を分けてあげる代わりにキリギリスがバイオリンを演奏するという結末になっています。

前途多難なユーロ圏内の不均衡是正の論議で、好んで欧州のドイツとギリシャやスペインなどの周辺国の関係を、「アリとキリギリス」の寓話にたとえる評論家がいます。倹約家で国際競争力を高めるために必死に働くドイツ=「アリ」と、浪費家で陽気に目先の享楽に興じるギリシャやスペインなどの周辺国=「キリギリス」という構図ですが、この寓話の生い立ちからすると感慨深いものがあります。

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