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2011年5月23日 (月)

日本の経営

ビジネスに携わる人たちの中で、日本の経営について論じた名著「日本の経営」(原題:“The Japanese Factory”)と、その著者ジェームズ・C・アベグレン氏を知っている人は、いまどのくらいいるでしょうか。

アベグレン氏は、戦後日本の大企業の実態調査をつぶさに行い、それを基に日本の経営が終身雇用、年功序列、企業別組合の三つの特徴を持つことを指摘し、この三つはその後、日本の経営の“三種の神器”と呼ばれるようになりました。

この著書の中でアベグレン氏が言わんとしていることは、このような日本の経営のあり方を西欧(特に米国)のやり方に対する“遅れ”として捉えるのでなく、単なる“違い”と考えるべきであり、それなりの長所を備えたものであるという見方です。このことは日本的経営に関する自信を回復させたばかりでなく、アメリカ式組織および管理の制度が絶対的なものではなく、いくつかの可能な方式の一つに過ぎないというメッセージにもなりました。

ところが、90年代に入るとグローバル・スタンダードなるものが登場し、企業経営においても株主主権、成果主義賃金制度、流動的労働市場といった国際標準なるものに合わせて経営を改革しなければならないという考えが支配的な座を占めるようになりました。その結果、そこに働くサラリーマン、ビジネスパースンの一人ひとりにも、そうしたフレームワークの中で生き残るための自己変革や対応が求められるようになったわけです。

かたや、企業組織を構成する一人ひとりの価値観やライフスタイルも時と共に多様化してきていますから、仕事の仕方や処世のノウハウについて一律の指針を示すことは簡単ではなくなってきています。セミナーを開いて、しっかりしたキャリアプランを持ちなさい、中核的専門能力(コアコンピタンス)を身につけなさいと言っても、それは総論的には正しいけれども、では具体的にどうしたらいいかということになると、百人百様の答えを求めなければならないことになってしまいます。「“できる人”になれ」と言うのは易しいけれども、その実像を描いてみせることは至難です。これまた千差万別にならざるを得ないでしょう。

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